コラム

終活でよく聞く?ワード 成年後見制度とは③

前回のコラムでは任意後見制度についてご紹介しました。
判断能力が不十分になった後に後見人を選ぶのが法定後見制度、判断能力が十分なうちにあらかじめ後見人を選んでおくのが任意後見制度です。

今回は、後見人ができること・できないこと成年後見を利用するデメリットについて紹介していきます。

後見人ができること


後見人ができるのは、大きく分けて財産管理と身上保護です。本人の思いをくみとって、その方らしい生活の実現を目指します。

財産管理

財産管理とは、本人の財産を維持・管理することです。後見人は、本人の財産や収入を確認し、将来の収支のバランスを考慮しながら、生活する上で必要な支払い手続きをして財産を管理します。

具体的には、通帳や印鑑の保管、銀行での手続き、バリアフリーなど自宅のリフォームや老人ホームに入るための自宅の売却などを本人に代わって行います。

食品や生活用品などの日用品の買い物は本人が行うことができます。もし、本人が買い物ができない場合は、買い物代行のヘルパーなどを手配します。

身上保護

身上保護とは、本人の暮らしをより良く組み立てることです。物事を自分で「考えて」「選んで」「決める」ことが難しくなった人の住まい・医療・介護・食事・買い物などに関する選択と決定をサポートし、生活環境を整える手配を進めていきます。

具体的には、本人の心身の状態や生活を踏まえて住居や施設を選んで契約したり、福祉サービスの契約や支払いを行ったりします。

後見人は、本人が快適に暮らすために必要な物を手配するのが仕事なので、食事や入浴の介助などを実際にするわけではありません。

後見人ができないこと


後見人は法律行為のみ行うことができるので、事実行為や身分行為を行うことはできません。

事実行為とは、本人の生活や健康管理のために何らかの労務を直接提供する行為です。施設から病院までの送迎、本人の介護などがこれにあたります。
これらの支援を必要としている場合には、介護タクシーを呼ぶ、ヘルパーの契約をする、など本人が必要なサービスを受けられるように手配をします。

身分行為とは、法律上の身分関係に関する法律効果を発生させ、あるいは変更、消滅させる行為です。婚姻届や離婚届を出す、子を認知する、養子縁組を行うなどです。

また、専門家などの第三者後見人は、入院時や施設入所時の保証人になることができません。後見人は本人と同一の立場であり、自分で自分の保証をすることは不可能だからです。
入院や施設入所が必要になった場合、まずは本人の親族に連絡をとって保証人になってもらうように依頼します。親族がいない場合や断られた場合は、病院や施設と相談することになります。

他にも、身体の苦痛や危険を伴うことのある具体的な医療行為(例えば手術など)の同意や本人以外のために財産を使うことはできません。

成年後見制度を利用するデメリット


成年後見制度は複雑で手間がかかる部分も多く、申立てには時間がかかるため、そこもデメリットではあるのですが、場合によっては、後見人をつけたことを後悔するようなことがあるかもしれません。

たとえば、相続税対策で不動産を購入したり、高額な生命保険に入ったり、生前贈与をするなどの手続きはできません。
後見人の仕事は本人のために財産を保護・管理することなので、積極的な投資や資産運用は、本人の財産を減らすリスクがあるためできないのです。

また、成年後見制度は、原則本人が亡くなるまで継続します。特別な理由がない限り、途中で後見人を解任することはできません。そのため専門家などの第三者後見人や後見監督人への支払いも生涯続きます。あらかじめ納得の上、成年後見制度を利用したいものです。

まとめ


3回にわたって成年後見制度について紹介してきました。
成年後見制度とは、様々な理由によって物事を判断する能力が十分でない方について、後見人といわれる代理人が、本人を法律的に支援していく制度です。

デメリットはありますが、煩雑な財産管理を任せられる、認知症や精神障害を利用した不利益な契約を防げる等のメリットもあります。

成年後見制度の利用について検討しはじめたら、まずは相談して、自分に合った制度かどうかをしっかり話し合うことがオススメです。

トカノハートでは、東京23区・関東全域で生前整理の代行を承っております。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!